今年の甲子園は大阪の履正社高校が優勝しましたね。
大阪は高校野球の激戦区で、PL学園や大阪桐蔭などプロ野球選手を多く排出するような強豪校が多い地区です。その中で履正社も トリプルスリーを3度達成した山田哲人(ヤクルト)やT―岡田(オリックス)、安田尚憲(ロッテ)らがプロでも活躍しています。
野球のみならず、スポーツの強い学校の多くは学生が寮で生活し、文字通り朝から晩まで自分の競技と向き合う環境にありますが、履正社の野球部はみんな自宅から通い、限られた時間練習しているそうです。
その中でどうやって日本一になる力をつけたのでしょうか。
優勝には監督の「生徒の自主性を伸ばすコミュニケーションを重視した指導方法」が大きく寄与しているようです。
加えて選手たちから「裏方監督」と呼ばれるほどの監督の姿勢が、その背景にはあったようです。
今回は監督の指導方法に関する記事をいくつかご紹介します。
自分の指導を振り返る材料としてぜひ読んでみてくださいね。
2001年に部員への暴力で6か月の謹慎を経験したことが指導者として転機になった。それまでは自身が東洋大姫路高時代に味わったようなスパルタ式の指導だったが、選手やその親との対話をより重視。「僕の18(歳)の頃と、今の3年生の18って考え方が全然違う」と時代の変化に合わせて、今年のチームにも「なぜこの練習をやるのか」という点から理解させた。
(履正社・岡田監督、対話重視が結実…部員11人からスタート「りしょうしゃ」野球部)
「(2001年に部員への暴力で謹慎を経験し)『違う指導方法を考えなアカン』と反省しました。それまでは叱っても誉めることはない。会話もなく一方通行の指導でしたから。どうしたらよいか悩んだ末、生徒と密にコミュニケーションを取る方針にガラリと変えました。参考にしたのが、大学時代に見学したアメリカの野球です。米国では、選手が自分の長所をどんどんアピールしていた。試合に出られないと、監督に『なぜ自分がベンチにいるのか』と聞きに行くんです。こうした大学時代の経験から、監督と選手がコミュニケーションをとることで、チームの意識を高めようと考え直しました。部員と親それぞれ別々に時間を設け、何が課題でどこが優れているかなどを話し合います。」
(履正社・岡田龍生監督 「ゆとり教育でも甲子園に行ける」理由 体罰厳禁、長時間練習もなし、「ベンチ入り」を部員の投票で決める超民主的野球部)
練習時間は午後5時から3時間程度で朝練習も強制ではない。松平一彦部長(42)は「桐蔭が5時間練習してるのなら、(履正社は)6時間練習しないと、と言ってもできない。自分たちのスタンスで限られた時間の中で効率を上げる」と明かした。選手は帰宅後、バッティングセンターに通ったりして練習に励む。自主性に任せているが、それには大きな責任も伴い、個々の成長を促している。
(履正社と大阪桐蔭の違い…寮がなくほぼ自宅から通学、各家庭に“コーチ”)
「整備用具の『ガリ(レーキ)』の使い方や、土をきれいにならすためのコツを熱心に丁寧に教えてくれるんです」「水たまりがあると率先して土を入れて、あっという間に整備してくれる」「外野にある林の木が生い茂ると、その都度手入れをしている」「(整備)技術を伝えるために選手とやる時もあるが、基本的に一人で黙々と環境整備をやっている」
選手や指導に当たるコーチ陣が練習だけに集中できるよう裏方業務に徹する。まさに“1人履正社園芸”。組織の長が部下のために“汚れ仕事”を率先して行う光景が、履正社グラウンドには毎日広がっている。そこから生まれる人望と信頼、感謝の思いが強豪の原点だ。
(【高校野球】履正社ナインが泣かせたい「裏方監督」)