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コーチング視点でオリンピックをふりかえる①

2021/08/12

8月8日に東京オリンピックが閉幕しました。
前回ご紹介したフェンシング男子エペ団体の見延選手の記事が好評でした!ありがとうございます。
なので、今回から数回にわたりコーチングのコーチの視点から、オリンピックの監督やコーチ、選手のリーダシップなどを見ていきたいと思います。

今回は卓球の石川佳純選手のプライベートコーチを務める邱建新(キュウ・ケンシン)さんに注目します。
邱氏は世界トップレベルのドイツ・ブンデスリーガや、青森山田学園で指導力を発揮した名伯楽です。
2016年リオ五輪では当時プライベートコーチをしていた水谷が銅メダルを獲得。
現在は日本のセミプロ卓球リーグであるTリーグの木下グループを総監督として率いる人物です。

 

どのような指導をしているのでしょうか。
彼のインタビュー記事を見つけましたので紹介します。

 

(石川選手と邱氏)2人の関係は思いのほかドライだ。
「1日4~5時間練習したら終わり、試合が終われば別々(に行動する)。
コーチや監督が選手とプライベートで一緒に居すぎるとお互い馴れ合いになってリスペクトがなくなります。
そうなると練習が難しくなる。練習や試合とプライベートは分けなくてはならないというのが私の持論です」

戦術論にも長けた邱氏は、選手と一定の距離を保つ一方、離れている時間には試合映像を分析し戦術を立て、いかに選手が試合で勝てるかを始終考えている。

 

卓球のセットとセットの間では、1分間のインターバルを取ることができる。
この間に選手とコーチは、作戦を話し合う。この時どっちつかずのアドバイスをし、指導者が「責任逃れ」しようとしてしまうことがある。
しかし、邱氏ははっきりとしたアドバイスを行う。アドバイスが外れてしまったら指導者の責任と考えている。

そのため事前・試合中にしっかり相手選手や自分の選手を分析する必要がある。
明確な方針を決め、結果には責任を取る、それが選手にとってやりやすい指導だと考えている。

邱氏の発言や仕草には一切「迷い」が感じられない。インタビューに答える表情も自信にみなぎっている。
その言葉や眼差しは力強い。

 

石川は
「邱さんは練習でも試合でも、必ず私に自信を持たせることを言ってくれる。それを聞くと出来るって思えてくる」
と話しているが、自信にあふれた指導者の言葉が選手の背中を押すことは想像に難くない。
邱氏のもとで強くなろうとする選手には、「邱さんに付いていけば大丈夫」「邱さんに認められたい」というモチベーションが芽生えるに違いない。

 

どうでしょうか。
過度に時間を共にしないけれど、気にかけ続ける。
邱氏の選手への真摯な向き合い方が、相手に伝わりしっかりとした信頼関係が築かれていることがわかります。
その一方で指導者としての姿勢は責任感に溢れるとても力強いものです。
それはおそらく、邱氏が試合映像を分析し戦術を立てるために費やした時間やこれまでの実績に十分な自信を持っているからこそだと思います。
そして自信があるコーチに指導を受けるからこそ、選手も自信が持てるようになる、実力が十分に発揮できるようになるのだと思います。

 

参考:
『卓球・石川佳純28歳「2人の会話は全て中国語」「2年間で食事は1度だけ」プライベートコーチが明かした“師弟関係”』
『男女全日本チャンピオンを生んだ「卓球・邱建新コーチ」から学ぶ「指導者」のあり方』