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コーチング視点でオリンピックをふりかえる④

2021/09/03

コーチングのコーチの視点から、オリンピックの監督やコーチ、選手のリーダシップについてご紹介しています。

今回の東京五輪では体操やスケートボードなど、10代~20代前半の若い選手の活躍が際立っていました。その中でも、陸上競技で入賞した3選手に注目します。
陸上競技は今回、メダル獲得に苦しんだ競技の一つでした。
そんな中で、メダルは逃したものの大躍進したのが男子3000m障害の三浦龍司選手(19歳)、女子10000mの廣中璃梨佳選手(20歳)、女子1500mの田中希実選手(21歳)でした。

 

この3選手、東京五輪が延期となったこの1年の間に急成長したのです。各選手の1年前の実績と1年間の成長、五輪での成績を見てみましょう。
●三浦龍司選手
<1年前>日本歴代2位をマークし、五輪参加標準記録を上回ったものの、国内トップレベルのレース経験は多くはなかった
<成長&成績>3000m障害予選を従来の日本記録を約6秒も塗り替えて2位でフィニッシュ。日本人として49年ぶりに決勝進出し、1000mをトップで通過。その後は先頭を奪われたが、入賞を狙える位置をキープし、日本人初入賞の快挙を達成

●廣中璃梨佳選手
<1年前>5000mは東京五輪の出場を狙える位置にいたが、10000mは未経験だった
<成長&成績>5000m予選で自己新をマーク、決勝では自ら先頭に立ってペースを上げる。入賞ラインには届かなかったものの、16年ぶりに日本記録を更新。10000mでもスタート直後から先頭に立ち、日本勢では25年ぶりの入賞(7位)を果たした

●田中希実選手
<1年前>1500mで日本記録(当時)を樹立したものの五輪参加標準記録には届いていなかった
<成長&成績>1500m予選、準決勝で日本記録、5000m予選でも自己新をマークし、3レース続けて自己記録を更新。決勝でも序盤から先頭集団に食らいつき、8位でゴール。決勝進出、93年ぶりの入賞という快挙を達成

 

いかがでシカ?
彼らは、1996年以降に生まれた「Z世代」
「デジタルネイティブ」とも呼ばれ、物心ついた時からインターネット環境がありスマホに慣れ親しみ、コミュニケーション方法や価値観において、「自分らしさ」「自分のペース」を大切にする世代です。

このような世代の若者に対して、SNSでのやり取りを中心にしてきたことから、ビジネスにおいては対面でのコミュニケーションが苦手など指導のやりにくさを感じている管理職や上司の方も多くいらっしゃいます。
でも、Z世代の若者でも「やる気スイッチ」が入れば、実力以上の力を発揮することをこの3人から学ぶことができるのではないでしょうか。

3人の共通点は世界の舞台でもひるむことなく、「自分のやりたいレース」を実践し、ともにトップを引っ張るという貴重な経験をしたこと。
それは無謀なものではなく、自分たちの特性を生かすための戦略であり、Z世代が生んだメンタリティが今回の好結果につながったのかもしれません。

 

三浦選手:「サンショー(3000m障害)は自分の個性を出せる唯一の種目」
廣中選手:「東京五輪が1年延期したからこそ2種目の挑戦ができた」
田中選手:「こんなに早く4分を切れると思ってなかった。自分のなかの常識を覆すことができた」

それぞれが自分らしさを持ちながらも、「挑戦」することを続ける。自分の競技を楽しみながら、高い目標にチャレンジしていることが分かります。

管理職や上司の皆さんは、部下一人ひとり、それぞれの意見や価値観、課題を尊重し、その人らしさを引き出すような接し方をすることで「やる気スイッチ」を押してあげましょう!

 

参考:『21歳田中希実、19歳三浦龍司、20歳廣中璃梨佳…なぜ東京五輪で“陸上界のZ世代”は躍進できたのか?』