先週まで野津的オリンピック特集にお付き合いいただき、ありがとうございました。今日からはいつも通りにと思ったのですが、どうしても触れたいパラリンピアンがいますのでご紹介します。
印象的なのは、「東海林大選手は「できたことノート」をつけていらっしゃいます」という解説の方の言葉です。東海林選手は男子知的障害クラスの競泳選手です。
2016年リオデジャネイロ2016パラリンピック日本代表選考会で、有力と言われながら選考戦で敗れ落選しました。彼の課題はメンタル。
「気持ちのコントロール。それさえできれば、負けることはないのに……」と本人も語っていました。落選後は水泳をやめたいと思うほど落ち込んだそうです。
メンタルのコントロールは彼の障がいの特性もあり、本当に困難なことです。そんなとき、父正樹さんは「できたことノート」を勧めました。
「今日食べたビッグマックがおいしかった」
「いい練習ができた」
その日あった「いい出来事」をノートに書き連ね、前を向くメンタルを養いました。水泳だけでなく日常でのうまくいったことや、いいこと、楽しいことがあったとき、それをノートに書く。
「書いたら、次の日また頑張れそうだなと思って。ノートを書き続けるにつれて、ネガティブになることがだんだん少なくなって、どんな逆境でもきつい練習でも前向きに取り組めるようになりました」
「できた」という成功体験は、自己肯定感のアップにもつながります。自己肯定感が高いと、自分に自信が持て、トラブルや困難に出会っても立ち向かえます。
様々な場面で、自分の力が十分に発揮され、良い結果を得ることができます。そして良い結果=「できた」の成功体験がもっと積み重ねられるのです。
反対に、自己肯定感が低いと、自分の悪いところばかりが目について、精神的に不安定になります。その結果、本来の能力を発揮できなくなります。
東海林選手の「できたことノート」は「自己肯定感アップ」につながっていたのです。
東京パラリンピックの全てのレースを終了後
「メダルが取れなくても、パラリンピックという過酷な状況で戦えた。この先の人生でも胸を張って生きていけそうだな」
と東海林選手は明るい表情で語りました。
今年もあと3ヶ月を切りました。
2021年いっぱいは、と思ってあなたも「できたことノート」を付けてみてください。
2022年には少し違うあなたがいるはずですよ!
参考:『パラ泳ぎ切った東海林大 「できたことノート」で心鍛えた日々』
『水泳 東海林大のAthlete Journey ネガティブな自分を変えた「できたことノート」』
『不調の末につかんだ自己肯定感 競泳・東海林大 <東京パラリンピックを振り返る>』