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「叱る」の一歩先へ

2020/11/05

先週は時には「怒る」ことも必要だが、その頻度は1年に1度あるかないか程度で十分である、というお話をしました。
『しかし、部下は年に1度あるかないかの頻度以上にミスないしはミス未満を起こすでしょう。その際に皆さんに取り入れていただきたいのが「叱る」なのです』というお話もしました。
「叱る」は相手の行動改善を促す行為です。
その際に忘れてはしくない視点がありますので、今回はそのお話をします。

 

例えば「あなたは、新しく配属して来た新人の教育担当になりました。この新人は、何度も何度も同じミスを繰り返し注意しても改善しません。あなたは、どのように対応するべきでしょうか」

選択肢は、複数あります。直球の対応策としては、「重要なことなので、ガツンと説教をする」ですが、これは戦略的な「怒る」に該当する事案なのか検討する必要があります。
今回は新人がミスをしないよう行動改善してほしいのですから、命に関わるミスでない限り「怒る」必要はありません。
それどころか相手のことを思って「怒る」指導したとしても意図が伝わらず、モチベーションを下げる要因となる可能性もあります。
こういう場合はホメシカ理論の「叱る」を実践してほしいと思いますが、今回はもう一歩踏み込んで考えてみましょう。

 

ここで考えてほしいのは「あなたの指導は適切だったか」です。
このケースでの目的は、新人がミスを繰り返さないように改善することです。
注意しても何度も同じミスが発生するというのは、直接的には新人の過失ですが同時に指導が適切ではなかったことも考えられます。
教える生徒が変われば、指導方法も変わります
自分が指導された方法だから、今まではこれでうまくいっていたからといって同じ方法で指導してもうまくはいきません。
相手と一緒に自分も成長する意識を忘れないでください。

 

この一歩下がって自分自身を客観的に見るという意識づけは、指導の場面以外でも有効です。
例えば依頼した仕事になかなか対応してもらえず困っているとすれば、依頼するタイミングやお願いの仕方などを見直してみるのが良いかもしれません。
対応してもらった後、感謝の言葉を伝えたり、コーヒーをご馳走してみたり、「あなたの作業は正確でとても助かった。あなたの仕事を信頼しているよ」とフィードバックすることもできるでしょう。

上手くいかない時、相手の不満を口にするだけなら誰でもできますが状況は何も変わりません。
しかし、自分自身を変えてみれば、相手に新たな影響を与え、うまくいくようになるかもしれません。
相手の行動改善を促すために「叱る」時には、自分の行動改善についても並行して考えられると、より良い指導になりますよ。

 

参考:『職場の新人がミスを連発…「ガツンと説教」対応が最悪なワケ』