先日、ある企業の管理職の方から、信頼していた部下が突然、退職を申し出たという話を聞きました。
その部下は、成績も優秀で、売上は支社内でNo.1。それ相当の報酬も受け取っていたし、これからリーダーとして期待されていた人材でした。
部下の突然の退職に管理職の方は、辞める理由が見つからないと憔悴しきっていました。なにより、これまで良い信頼関係を築いてきたつもりだっただけに、何の相談もなく部下が退職を決めたことに大変ショックを受けていました。
同じような経験をしたことのある管理職の方は他にもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、このような部下の突然の退職申し出に対処する方法について考えてみたいと思います。
■テレワークの普及で転職活動に変化
コロナが広がる2019年以前は、19時以降と退勤後に面接が行われていました。しかし、コロナの影響でテレワークが普及し、平日に面接が行われるケースが増加。
テレワークや外出自粛で時間ができ、情報収集にかける時間も増えています。転職活動しやすい時期だと言えるでしょう。
また、企業側もコロナで教育(指導)が十分に行えない新人よりも、経験があり即戦力になる中途採用を積極的に行うケースが増えているようです。
■退職に至るまでの12ステップ
(1)他キャリアの認知
(2)他キャリアへの関心
(3)転職へのきっかけ・後押し
(4)話を聞く
(5)お試し転職
(6)応募
(7)本選考
(8)内定
(9)内定承諾
(10)退職交渉
(11)退職決定
(12)退職
このうち、(6)の「応募」時点では、「自分の市場価値を知りたい」という思いから退職への行動が進んでいる段階。特に、テレワーク中の転職活動であれば、この時点で察知することは難しいでしょう。下手に引き止めに動かず、気を付けて接する必要があります。
引き止めのチャンスがあるとするなら、「(10)退職交渉」。新しい職場で人間関係をゼロから構築することを面倒だと感じる人も多いはず。
部下自身も退職を申し出る際は、相当な覚悟をしているはずなので、その気持ちをまずは受け止めましょう。
そのうえで、時間を取って、退職のきっかけが何であるのか、「人間関係」「評価」「賞与」「事業方針の変化」「年齢やライフステージの転機」など退職理由の聞き取りをしっかりと行いましょう。
例えば、退職の理由が「人間関係」であるならば、人事異動で引き止めができるケースもあります。
「起業したい」等のポジティブな理由であれば、その部下の人生を応援することも大切かもしれません。
退職理由の聞き取りは、次の退職者を防ぐためにも重要なので必ず行いましょう。
とはいえ、せっかく育てた人材を退職させたくはないですよね。部下の退職を事前に察知するには、やっぱり日頃のコミュニケーションに尽きると思います。部署間のマネージャーやリーダーと情報を共有し、部下の変化に気づくことが大切です。
特に、今は直接のコミュニケーションがとりにくい状況です。日頃から声を掛け、部下をよく観察するようにしましょう!