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コーチング視点でオリンピックをふりかえる③

2021/08/25

コーチングのコーチの視点から、オリンピックの監督やコーチ、選手のリーダシップについてご紹介しています。

オリンピックと言えば「日本のお家芸」と言われる柔道が注目されますが、柔道の競技人口が一番多い国はどこかご存知でしょうか?
なんと1位はブラジル!
約200万人だそうです(2016年ミズノ調べ)

 

ブラジルの柔道男子66kg級代表ダニエル・カルグニン選手は、今回のオリンピックで銅メダルを獲得しました。
彼を指導したのはブラジル柔道男子代表の藤井裕子監督でした。
2人のインタビューをご紹介します。

 

カルグニン:裕子先生には、これまでとてもお世話になり、助けられてきた。
思い出すのは、2018年のイタリア合宿だ。僕はひどく調子が悪く、思うような練習ができなかった。乱取りをしても、投げられてばかり。完全に自信を失い、トイレに籠って頭を抱えた。「もうダメかな」、「柔道をやめようか」とも思った。
落ち込んでいる僕を見て、裕子先生が「絶対に諦めちゃダメ。もっともっと練習しよう」と励ましてくれた。
自分で自分のことをダメだと思っているのに、この人は僕を信じ、一所懸命に励ましてくれる。なぜなのだろう、と不思議だった。でも、先生の励ましのお陰で「また頑張ろう」と思い直し、地道に練習を積んできた。

 

藤井監督:あのときのことは、良く覚えています。あれ以外にも、彼にはスランプやピンチが何度もありました。
でも、彼はよく練習するし、勝負勘が素晴らしい。まだ若いし、今後、ブラジル柔道にとって貴重な人材になるという確信がありました。だから、「彼のことをどこまでも信じよう」、「彼を腐らせてはならない」と思って接してきました。本当によくやってくれました。

 

――藤井監督、カルグニンのオリンピックでの5試合を振り返ってください。
藤井監督:(当日の)彼は非常に集中していて、大きなことをやってくれそうな予感がありました。
準決勝の阿部一二三選手との対戦も、序盤はかなりいい出来で、「これなら勝てる」という気がしました。残念ながら投げを食らってしまいましたが、試合内容は決して悪くなかったです。本人は悔しがっていましたが、「次があるよ。気を取り直していこう」と声をかけたら、集中力を取り戻したようでした。
3位決定戦の前、「どういう試合をしたい?」と聞いたら「積極的に行きたい」ということでした。「自分のスタイルを貫いたら大丈夫だから」と伝えたのですが、よく頑張ってくれました。

 

――カルグニン選手、これまで藤井監督から学んだことは?
カルグニン:技術的な部分はもちろんだが、何か問題があっても決して諦めず、地道な努力を続けること、練習でも試合でも常に最大限の集中力を保つことを教えてもらった。
裕子先生との素晴らしい出会いがあり、柔道の母国日本で開催された五輪で表彰台に上がることができて、これまでの人生で最高の日になった。

 

コーチングにおいて「相手(クライアント)を信頼する」というのは最も重要なことの1つです。
藤井監督はカルグニン選手の力を信じ、彼に「どうしたい?」と大切な場面でもたずねたとのこと。
いや~名コーチ!と思いました。
皆さんにも、相手のことを信頼してほシカ!

 

参照:『〈出産・育児と並行してブラジルで男子柔道を指導〉藤井裕子監督と愛弟子が涙の銅メダル… 2人に聞く“阿部一二三らとの激闘と信頼関係”』